ヘリコプターパイロットになるには
2018年8月31日
ヘリコプターはとても有名な乗り物です。大空を舞う姿は、飛行機と異なる魅力にあふれています。しかし、実際に乗ったことのある人は意外と少ないのではないでしょうか。
そして有名だけど珍しいヘリコプターのパイロットになるには、どうしたら良いのでしょうか。今回はヘリコプターの操縦士になる方法や、必要な資格、費用などをご紹介していきたいと思います。
ヘリコプターのパイロット不足
ヘリコプターは、どんな場所からも自由に離発着できる実に有用な乗り物です。飛行機と違い滑走路を必要としないため、あらゆる場所へ素早く移動することができます。観光や航空写真の撮影、災害などの救難・救助活動など、その活動の場は実に多彩です。昨今では病院におけるドクターヘリが増強されており、ますますその活躍が期待されています。
しかし、現在ヘリコプター業界は深刻なパイロット不足に悩まされているようです。また現役操縦士も年齢層が高く、その点も問題と考えられています。つまり裏を返せば、ヘリコプターパイロットは世の中から強く求められている仕事であるといえるでしょう。
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必要な資格とは
ヘリコプターを操縦するためには、国土交通省が発行している「回転翼航空機免許」を取らなくてはいけません。この免許には自家用と事業用の2種類があります。プロを目指す人はまず自家用操縦士免許を取得し、それから事業用操縦士免許を取得する必要があります。
受験資格ですが、事業用操縦士だと200時間以上の総飛行時間、100時間以上の機長としての飛行、10時間以上の計器飛行など、5つの項目をクリアしなければなりません。また年齢が18歳以上であることが条件です。
試験は学科試験と実技試験からなり、学科試験に合格しないと実地試験は受けられません。学科試験は原則として、年に6回行われます。科目合格制度がとられているので、必ずしも一度に全てを合格しなくても、一部の科目に合格してから1年以内に全科目受かれば大丈夫です。
受験資格を得るためには
ヘリコプター免許の受験資格は、どのように取得したら良いのでしょうか。これは自動車免許の取得と同じに考えてもらうのが良いでしょう。つまり、航空スクールへ入りそこで座学と操縦訓練を行う形になります。
海外で取得した航空免許は日本の免許に切り替えが可能なため、航空スクールは日本と海外の両方を視野に入れて選ぶことが可能です。ただし、海外で取得した免許の場合、日本の学科試験の5科目中、「航空法規」の追加受験をしなくてはいけません。また事業用操縦士免許だと、実地試験の一部も追加受験が必要となります。
国内外航空スクールの違いやメリットデメリット
国内外のスクールについて、その違いをみていきましょう。
国内スクールの場合
メリット
実地試験が行われる日本の空で練習ができることです。長期間日本を離れる必要がないので、働きながらでも通うことが可能です。また、日本語での授業となりますので、細かな点まで授業内容が理解しやすいでしょう。
デメリット
海外より時間と費用がかかることです。また日本の天気は変わりやすいため、その影響を受けることになります。海外よりスクール内の試験が難しいという声もあります。しかし試験が難しいのは、高度な知識が得られると考えればメリットと判断することもできます。
補足
途中の実地訓練に海外留学を挟み、費用を抑える工夫をしているところがあるようです。
海外スクールの場合
メリット
短期間と低価格で免許取得が可能となることです。例えばアメリカであれば日本に比べ航空機はずっと身近な存在なため環境が整っているといえます。また、天候に左右されることが少ない点もあげられます。そして海外生活を経験してみたい方には、プラスアルファの楽しみも期待できそうです。
デメリット
デメリットは英語の授業となること、そして、試験の前には日本で実地の再訓練をし、日本の空になれる必要がある点でしょう。
スクール選びのポイント
国内でも海外でも訓練の内容が、充実しているかどうかは、とても大切なポイントといえます。特に実地訓練は自分で補うことが困難になります。機材は豊富か、訓練時間は足りているかなど、数校と見比べながらしっかりと確認をするのが大切でしょう。
またスクールの教官についても可能ならチェックをしておくと良いでしょう。免許の合格率もそのスクールが信頼できるかどうかを判断する目安の1つとなりそうです。
また海外スクールの場合は資料に書いてあるパック料金の安さにも注意したいところです。訓練時間が受講期間に対し妥当なものであるかをしっかりと見る必要があるでしょう。受験資格に必要な時間数に満たないことがないよう注意しておきたいところです。
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費用はいくらかかるのか
ヘリコプターのパイロットになるために費用はいくらかかるのでしょう。
これはスクールによって差がありますが国内だと1,000万円ほどかかるケースがよく見られます。海外の場合は半額以下という話もありますので資料を取り寄せるなど、しっかりと検討することが必要でしょう。
また就職先によっては補助を出してくれるところもあります。例えば中日本航空です。社の指定校で一定条件をクリアし奨学訓練生となれば、事業用操縦士の訓練費用等として1,000万円を貸与してくれます。さらに卒業後、中日本航空で操縦士として10年間勤務すれば返済は実質的に免除されるシステムを設けています。
様々な観点から比較検討して、無理のない予算で免許取得に挑戦していきたいものです。
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就職状況も知りたい
時間と労力をかけて取得したヘリコプターの操縦士免許です。ぜひ最大限に生かしたいところです。ヘリコプターパイロットは、人材が不足していることもあり、就職率は高めのようです。その就職先も多岐にわたっています。
国を守ることに力を尽くしたいのであれば、海上保安庁、警察などの官公庁があります。人を乗せることが好きであれば、航空事業会社の道もあります。リラックスして楽しみたいという考えであれば、観光会社などで夜景を眺めるアトラクションのパイロットなども考えられます。医療関係であればドクターヘリの役割を担うことも可能でしょう。
就職先の募集状況ですが、官公庁なら一般公募されていますし、民間企業であれば各種転職サイトでも募集が見られます。また、スクールによっては就活指導をしてくれるところもあるようです。年収も高く、厚生労働省が平成27年に行った「賃金構造基本統計調査」によれば、航空機操縦士の年収は1,291万円となっていました。これは旅客機の操縦士も含みますが、ヘリコプター操縦士単独であれば、約600万円から上は1,000万円超えという情報があるようです。
社会人からでもなれるのか?
社会人を経て、ヘリコプターのパイロットになった方は多くいます。自力で学費の準備を整えた後じっくり挑戦したり、30歳を過ぎてからパイロットとして再就職した方もいるようです。性別の壁もないようで、多くの女性パイロットが活躍しているそうです。
ただ、パイロットになるには免許の他に、航空身体検査が必要となります。例えば視力であれば、矯正視力1.0以上が必要です。かつては裸眼視力規定がありましたが、現在はコンタクトレンズの使用も許可されています。
やりがいのあるヘリコプターパイロット
ヘリコプターのパイロットになるには、それなりに時間と費用がかかります。しかしその免許は国家資格であり、世の中の需要も非常に高いものがありました。プロのヘリコプター操縦士として活動するまでは、大変かもしれません。
しかしその努力に見合った大きなやりがいと、収入の得られる職業と言えるのではないでしょうか。