ヘリコプター免許を取得するには
ヘリコプター免許には大きく分けて2種類あります。
自家用操縦免許
自動車でいう第一種でプライベートでヘリコプターを所有、または飛行クラブなどに入って空の世界を楽しむ場合に必要になります。
事業用操縦士免許
報道、救急、遊覧等の業務や消防防災ヘリコプターとして省庁などで使われているヘリコプターを操縦する場合は「自家用操縦士免許」の他にもこちらの免許が合わせて必要になります。
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自家用操縦士免許を取るには
ヘリコプターの自家用操縦士免許は国家資格です。各地にエアースクールはありますが費用などがスクールによって異なりますので十分に納得してから国土交通省に操縦練習許可書の申請をしましょう。
申請書を提出すると航空身体検査が行われます。ここで視力や健康面において大きな問題が見つからなければ操縦練習ができますので入学して学びます。
エアースクールでの知識を習得しつつ飛行経験を重ねて終了します。それから年に2回実施される学科試験と実技試験にそれぞれ合格する必要があります。多くの人は約1年の目標期間に学びます。
自家用操縦士免許取得の流れ
ヘリコプターの免許を取るにあたり、座学として学科を約100時間程度学びます。他にも航空無線の試験もあるので、こちらも学びます。
続いて口述試験や実技試験の実地試験を受けるために操縦練習を行います。ステップアップの早い人でも約40時間程度、ゆっくりの人の場合は約100時間程度練習します。考え方は自動車教習所と同じです。
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ヘリコプター免許にかかる費用
ヘリコプタースクール選びのポイントや就職率
ヘリコプター操縦士になるための身体検査証明
ヘリコプター操縦士になるには、勉強や実技をはじめる以前に航空身体検査の結果による身体検査証明を所得していなければいけません。
この身体検査基準は国によって違いがあり統一されていません。ですがヘリコプターを安全に操縦するためには視力や健康面のチェックが非常に重要になってきますので、必要不可欠な検査と言えるでしょう。
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自家用操縦士免許の学科試験や実技試験
ヘリコプター免許に必要なFAA学科授業を終了して学科試験を受けますが、ここで学科授業科目について挙げてみます。
- 基本航空力学
- 航空機システム
- 航空計器
- 航空法規
- 航空気象
- 航空機の性能
- ナビゲーション
- 航空通信
- 航空英語
日本以外では、上記のうち8つの科目が免除扱いになり航空法規のみを学びます。そして実技試験では、すぐれた操縦技術が問われます。
- 運航知識
- 飛行前作業
- 離着陸
- ホバリング
- 異常や緊急時の操作方法
- 航空交通管制機関等との連絡をとる総合能力
こうした操縦技術能力の高さが求められます。また外部視認飛行、野外飛行も重要な要素になります。
日本以外のヘリコプタースクールを活用する方法
ヘリコプター免許を取得するのは国内のみでなく海外、主にアメリカやカナダのエアースクールを利用する方法もあります。
実際に海外で学ぶ人もいて、FAA自家用学科試験の勉強、飛行実習訓練、操縦学、関連座学、口頭試問対策、FAA自家用実地試験について身につけていきます。
飛行機代や海外滞在費用はかかりますし語学力も必要になりますが、会社を休むなどの長期休暇が許されるのであればエアースクールの受講費用を大幅におさえることができるでしょう。
エアースクールの期間や時間と費用
国内のエアースクールでヘリコプター免許を取得する場合、通い方や能力、スケジュール調整が上手に出来たとしても学科と実技を含めて半年から1年程度かかります。
人によりますが、少ない人でも約40時間、多い人は約100時間程度の操縦練習が必要になります。また、同時に座学の講義も約100時間程度になります。費用も400万~1,000万円程度になります。
これが、海外で免許取得する場合だと期間が2~5ヶ月に短縮できて滞在費用を合わせても300万~400万円程度におさえられます。
ヘリコプターの海外エアースクール
海外でヘリコプター免許を取得する場合、アメリカやカナダにエアースクールが多いので語学力に自信があれば直接申込をして入学する事も出来ます。費用や期間を大幅に減らせるので時間が許されるのであれば有効な手段です。
また、国内にあるエアースクールからでも海外のエアースクールを紹介してもらう事も出来るので、このあたりも相談してみる価値があるでしょう。
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海外エアースクールのメリット
なにより期間と費用の軽減が大きなポイントになりますが、ヘリコプターの免許には航空無線の試験もありますので同時に英語が学べる事がとてもメリットになります。
日常会話の英語はもちろんの事、航空無線を使う際に専門用語が多く使われますので同時に語学スキルも身につけられます。試験自体の難易度も国内より低い傾向にあります。
海外エアースクールのデメリット
海外でヘリコプターの免許をとって帰国後に国内にてヘリコプターを操縦する場合に、国内免許に切替が必要になります。日本では、ICAO(国際民間航空条約)に加盟していて同条約に加盟している国で免許を取得していれば国内免許に切り替えができます。
国内免許に切替するには書類の申請だけにとどまらず、国内での学科試験、法規試験に合格する必要があります。また国内での空事情を知る必要もあるので再訓練があります。その他細かい条件として以下のことが挙げられます。
- 年齢18歳以上
- 飛行総時間は40時間以上、10時間以上の単独飛行の経験
- 出発地点から180km以上飛行、中間で2回以上の生地着陸、5時間以上の単独飛行による野外飛行の経験
- 夜間での離陸や着陸、航法の実施を20時間以上の同乗教育飛行
- オートロテイションによる着陸の経験
これらをログブックに記録する必要があります。ログブックには、国土交通省航空局が発行しているものと海外で使われているものに違いがあるので海外でヘリコプターの免許をとる場合は、あらかじめ国土交通省航空局が発行しているものを持参するほうが良いでしょう。
事業用操縦士免許
ヘリコプター免許の正式名称は「ヘリコプターの自家用操縦士免許の技能証明書」です。
パイロットの飛行時間など記録したログブックも合わせて、運航知識、飛行前作業、離着陸、異常時緊急時操作、外部視認飛行、野外飛行の技術を再確認しながら、エアラインパイロットコース、官公庁パイロットコース、ドクターヘリ用パイロットコースなどを学び試験をうけます。
事業用操縦士免許をもってヘリコプターが活躍できるのは、登山遭難者を探して人命救助したり、物資の輸送をおこなったり、海上保安庁、国土交通省、消防庁、警察など官庁でも多く使われたりします。またドクターヘリなどの救助活動にも使われます。
またヘリコプターは災害の際に上空からの様子を捉える時や、年末年始などの道路の交通渋滞状況を確認、高速道路の事故の様子を伝えるなどの報道番組の情報を得るためにも便利で、遊覧飛行などのレジャーにも使われます。
民間企業での仕事もたくさんあるので職業にするのも良い方法です。ヘリコプターの長所は、コンパクトで飛行機のように離着陸に長い滑走路を必要としないことが最大の特徴です。ヘリコプターは上下移動も垂直に行なえるので、狭い隙間や谷など飛行機では難しい場所へもアプローチできます。
唯一、自衛隊のヘリコプターを操縦するには別途専用の免許が必要になります。
ヘリコプター免許まとめ
ヘリコプターは様々な用途で利用される航空機です。小回りが利いて狭い場所でも離着陸ができます。現在はヘリコプターならではの特性を生かして様々なシーンに活用されています。
こんな魅力的なヘリコプターの免許。そのハードルは、決して低いものではありませんが、プライベートだけでも楽しい世界が広がります。仕事につなげて多くの人に役立つ自慢の職業にもなります。がんばってヘリコプターの免許を取りましょう。