ヘリ免許の種類
2018年9月2日
ヘリの免許を取得しようと思ったとき、もしかしたら戸惑うことがあるかもしれません。なぜなら、ヘリの免許にはたくさんの種類があるからです。
目的のヘリを操縦するために、免許の種類をしっかりと調べ、それから取得を目指しましょう。そこで、これからヘリコプター免許の取得しようと考えている方のために、ヘリの免許の種類や代表的な機種について紹介します。
エンジンによって免許の種類が違う
ヘリの免許は大まかに分けると、自家用操縦士と事業用操縦士に分かれています。
自家用操縦士はプライベートなどでヘリを操縦するために必要な免許です。例えば、趣味でヘリを飛ばしたり、会社で購入したヘリを福利厚生や移動のために操縦することなどができます。
事業用操縦士はヘリを用いた事業を行うときに必要な免許です。海上保安庁などの官庁の仕事、遊覧飛行やドクターヘリなどの民間事業で用いられます。
さらに、重さによっても免許の種類が分かれます。最大重量が3175kg以下の場合、免許が分かれる基準は3つあります。それは、ピストンエンジンかタービンエンジン、単発エンジンか多発エンジン、離着陸する着陸帯によって水上機か陸上機、という基準になります。
最大重量が3175kgを超えると、大型の機体になるため、型式が限定された免許になります。つまり、各機体によってそれぞれ個別の免許が必要ということです。
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自家用操縦士免許と事業用操縦士免許の違い
日本国内の自家用操縦士免許を取得する場合
操縦練習許可申請をして、学科試験・航空無線試験を受け、実地試験を受けると取得できます。なお、操縦練習許可申請した後は、航空身体検査を受け、40時間から100時間の操縦練習が必要です。
日本と海外で自家用操縦士免許を取得する場合
操縦練習許可申請をして航空身体検査を受け、日本で操縦練習をします。その後、海外で航空身体検査と学科試験を受け、操縦練習を行います。さらに、海外の実地試験を受けて海外の免許を取得した後、日本で法規の学科試験を受けます。学科試験に合格後、日本の自家用操縦士免許に切り替えることで、日本の自家用操縦士免許を取得することができます。
日本国内の事業用操縦士免許を取得する場合
航空無線を取得し、まずは自家用操縦士免許を取得します。さらに、機長でのフライト35時間以上を含む、総飛行時間150時間の操縦が必要となります。その後、事業用操縦士の学科試験と実地試験を受けることで、事業用操縦士免許を取得することができます。
日本と海外で事業用操縦士免許を取得する場合
操縦練習許可申請、航空身体検査を受けた後、操縦練習を行います。そして、海外で自家用操縦士免許を取得してから、海外の事業用操縦士学科試験・実地試験を受け、海外の事業用操縦士免許を取得します。その後、日本で法規の学科試験に合格してから、海外の免許を日本の自家用操縦士免許に切り替えます。さらに、飛行練習や座学を受けてから、日本の事業用操縦士学科試験や航空無線試験に合格します。最後に事業用操縦士実地試験に合格することで日本の事業用操縦士免許も取得できます。
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ピストンエンジンとタービンエンジン
ピストンエンジンとは名前の通りピストンを用いたエンジンです。エンジンは吸気・圧縮・燃焼・排気の作業を行いますが、ピストンエンジンの方は、これらの作業を1つの部屋で順番に行います。そのため、力を出すための燃焼という作業は4回に1回となります。
タービンエンジンとは、回転機械を使って動くエンジンです。ちなみに、航空機に搭載されているのは、こちらのエンジンがほとんどです。タービンエンジンは、吸気や燃焼などの4つの作業を4つの部屋で別々に行うことができるので、燃焼の作業も連続で行われます。そのため、小型のエンジンでも高出力を出すことができます。
単発エンジンと多発エンジン
エンジンが1台の場合が単発エンジン、エンジンが2台以上の場合が多発エンジンとなります。単発エンジンが載せられるのは小型機のみです。それは、飛行中にエンジンが故障した場合、すぐに着陸する必要があるからです。
多発エンジンのうち、2台が双発、3台が3発、4台が4発と呼ばれます。これよりエンジンが多いものもありますがエンジンが多くなるほど取り扱いが難しくなるので現在では軍用機のみに用いられています。また、多発エンジンの場合エンジンが1台故障したとしても他のエンジンで飛行を続けられるため単発エンジンに比べて安全性は高まります。
陸上単発ピストンエンジンと陸上単発タービンエンジン
ここからは、陸上機の代表的なエンジンの種類と機種を紹介します。
陸上単発ピストンエンジン
ピストンエンジンを1台積んだものです。単発ピストンエンジンを載せた機種として代表的なものに、ロビンソン・ヘリコプターのR22とR44があります。これらは、世界中で自家用機として用いられているヘリです。
ロビンソン・ヘリコプターR22
40年以上の長い間、多くの人々を乗せてきたアメリカの機種です。乗員は2名で、維持費用の安さから、たくさんのパイロット養成スクールで用いられています。
ロビンソン・ヘリコプターR44
R22ほどではありませんが、開発から25年以上の長きにわたって活躍している機種です。乗員は4名で、自家用のヘリとして、一般的に普及しています。
陸上単発タービンエンジン
タービンエンジンを1台載せたものです。ジェットヘリなどがこれに該当します。乗員は5名から6名のものが多く、ロビンソン・ヘリコプターのR66、エアバス・ヘリコプターズのEC120コリブリなどが有名です。ちなみに、単発ピストンエンジンよりも、購入に多くの費用が必要です。
ロビンソン・ヘリコプターR66
単発ピストンエンジンであるR44の上位機種です。乗員は5名で、荷物室には大きめの荷物が入る余裕があります。
エアバス・ヘリコプターズEC120コリブリ
世界最大手のヘリコプターメーカーが開発した機種です。コリブリとは、「ハチドリ」のことを意味します。乗員は5名で、小さめの機体で騒音が少ないという特徴があります。単発タービン機の訓練機として、多くのスクールで用いられています。
陸上多発タービンエンジンと大型の機体
陸上多発タービンエンジンとは、タービンエンジンを2台以上搭載した機種のことです。複数のエンジンでプロペラを回すので、パワーと安定感、安全性があります。航空会社や官庁などで多く用いられている機種になります。
代表的な機種として、アグスタウェストランドA109があります。イタリアなどを拠点とする、アグスタウェストランド社が開発したヘリです。1960年代から開発され幅広い用途で運用されています。
アグスタウェストランドGrandnewという機種は、CGで地形や障害物の位置を表示してくれるシステムが搭載されています。視界が悪い場合でも、障害物などを3次元表示してくれるので安全に飛行できます。
エアバス・ヘリコプターズEC135は最新の技術が搭載されているので性能が高く、低騒音・低振動の機種です。日本では、海上自衛隊や警察庁などで用いられています。
最大重量が3175Kgを超える大型の機体はその機種だけに適用される型式限定の免許が必要です。国や大手報道機関などが所有しているヘリです。
エアバス・ヘリコプターズAS365はドーファンという、フランス語でイルカを意味する愛称を持っています。大型の機種のため用途に合わせて多くの装備品を搭載することができます。また高速で飛行することができるので、人命救助や輸送、大手報道機関の取材で用いられています。
操縦するヘリによって免許が違うので注意
ここまで免許の種類や代表的な機種について紹介しました。ヘリの免許は操縦する目的やヘリの種類によって全く違ってきます。そのためまずは目的や操縦したい機種をよく確認しましょう。
また日本と海外の両方で免許の取得を目指す場合、多くの違いがあるので注意しましょう。日本と海外では、離着陸の場所が許可制かどうかに違いがあったり、飛行方法に違いがあったりします。さらには、日本での再訓練が必要となります。