パイロットへの第一歩
2018年7月2日
ヘリコプターのパイロットになりたいけれど方法がわからないといった人や、視力が悪いのでなれるかどうか心配という人向けに、パイロットになる方法について紹介します。
ライセンスの種類やパイロットになるために必要な視力、主な就職先なども紹介しています。パイロットへの第一歩を踏み出すための参考にしてみてください。
ヘリコプターライセンスには種類がある
ヘリコプターのパイロットになるには、まずライセンスを取得する必要があります。車の運転をするのに免許が必要なように、ヘリコプターを操縦するのにも免許が必要だからです。ヘリコプターを操縦するためのライセンスは主に2種類あります。それが自家用操縦士免許と事業用操縦士免許です。
またヘリコプターと同じように、飛行機にも自家用と事業用の2種類の免許があります。ヘリコプターの場合は回転翼自家用操縦士免許、飛行機の場合は固定翼自家用操縦士免許など、頭に回転翼や固定翼を付けて区別されることが多いです。パイロットになりたいと考えている場合、趣味でヘリコプターを操縦したいのか、仕事としてパイロットになりたいのかで取得する免許の種類も違ってきます。
自家用操縦士免許は自家用と名の付く通り、自分のヘリコプターを自身の判断で操縦するための免許です。この免許は自家用のヘリコプターを持っていて、趣味で自由に操縦したい人が取るのに向いています。自家用操縦士免許のみでパイロットとして仕事をしたり、商業目的で人や物を乗せてフライトすることは禁止されています。
もう1種類のライセンスである事業用操縦士免許は、その名の通りパイロットとして仕事をしたり、商業目的でヘリコプターを操縦するための免許です。自家用操縦士免許が車でいう第一種運転免許のようなものなら、事業用操縦士免許はプロのライセンスのようなものです。事業用は自家用を取得するよりも難しいといわれていますが、プロのパイロットになるためには取得しておくべきライセンスです。
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視力が悪くてもパイロットになれるのか
パイロットになるには視力がいいことが条件の1つだといわれています。パイロットになるためには身体検査を行う必要があり、そこで行われる視力検査では一定以上の視力が必要だからです。視力検査を含めた身体検査は、自家用操縦士免許でも事業用操縦士免許でも年に1回更新する必要があります。
機長として飛行するには、各眼0.7以上の視力があることが条件の1つです。この0.7以上という数値は、裸眼はもちろん矯正でもクリアできればいいといわれています。メガネやコンタクトレンズを付けていても、左右それぞれの眼の視力が0.7以上あればパイロットの条件の1つを満たすことができるわけです。
事業用操縦士免許の場合は、さらに両眼の視力が裸眼または矯正で1.0以上必要となります。各眼0.7以上という条件は飛行機のライセンスを取るときも同じです。目が悪くてもメガネかコンタクトレンズを装着して条件を満たせれば、パイロットを目指すことができます。
プロのパイロットを目指すには
プロのパイロットになるには、まず事業用操縦士免許を取得する必要があります。事業用操縦士免許の取得には総飛行時間150時間以上、機長時間35時間以上など、飛行時間に関するさまざまな要件があります。いきなり事業用操縦士免許を取得するのではなく、だいたいの人が自家用操縦士免許を最初に取得してから事業用に挑むパターンが多いです。
実地試験は必ず日本で受験する必要がありますが、それまでに自家用操縦士免許を海外で取るか日本で取るかに分かれます。海外で自家用操縦士免許を取得する場合、国内での訓練に比べて安い費用で、しかも短期間で取得できるといわれています。短期間で低費用で取得できるのは大きなメリットですが、ある程度の英語力があることや国内で操縦する際はライセンスの書き換えが必要なことに注意する必要があります。
国内でライセンスを取得する場合はライセンスの書き換えをする必要がなく、再訓練の必要もないことがメリットです。海外で取得するよりも費用がかかってしまいますが、慣れた土地や環境で訓練したい人に向いています。事業用操縦士免許を取得できれば、パイロットとしてさまざまな仕事を選択することができます。ヘリコプターのパイロットの就職先は大きく分けて3つあります。1つは官公庁、もう1つは民間企業、そしてもう1つが自家用運行をしている企業です。
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官公庁のパイロットを目指すには
海上保安庁や国土交通省、各都道府県の警察や消防庁などの官公庁ではヘリコプターを保有しており、それを操縦するパイロットも必要としています。官公庁でパイロットの仕事に就くには有資格操縦士の募集に応募するか、内部養成を行う官公庁採用試験にチャレンジするかの2つがあります。有資格操縦士の応募には事業用操縦士免許が必要となり、内部養成を行っているところでは自家用操縦士免許のみというのが一般的です。
事業用操縦士免許は自家用操縦士免許を取得するよりも時間がかかり、費用も自家用を取得するより高いです。ヘリコプターのライセンスを取得するには、1,300万円ほどかかるともいわれています。予算に余裕がある場合には事業用のライセンスを取得してから、各官公庁の有資格操縦士の募集にチャレンジするのも1つの方法です。
自家用のライセンスのみを取得して、内部養成を行っている一部の警察や消防などの採用試験に受かれば、あまり費用をかけずにプロのパイロットを目指すこともできます。
民間企業でパイロットとして働く
ヘリコプターは一定のスペースさえあればヘリポートや飛行場以外の場所でも着陸することができ利便性が高いため、サービスとして活用する民間企業も多くあります。防災ヘリコプターやドクターヘリなどの緊急運航が民間企業に委託されるケースもあることから、パイロットを必要としている企業も少なくないです。
民間企業がヘリコプターを利用して提供しているサービスはさまざまです。客を乗せて夜景など上空からの景色を楽しむ遊覧飛行や上空からの撮影を行う航空撮影、空のタクシーとして利用されるチャーターフライトや物資輸送などがあります。テレビ局が上空から事件や事故、災害の様子を伝える報道の場でもヘリコプターは活躍しています。こうした民間企業でパイロットとして働くには、事業用操縦士免許を取得してからチャレンジするのがベストです。
サービスを提供するためにヘリコプターを運航している企業もありますが、移動用として専用のヘリコプターを所有しているところもあります。新聞社などマスコミは取材用としてヘリコプターを所有しているところが多いです。事業用操縦士免許を持っていれば、そうした企業の専属操縦士を目指すこともできます。
また、一部の航空会社では訓練生を募集していることがあります。パイロットを養成するため、選抜試験に合格すればライセンスを取得するための一部の費用を貸与してくれるなどの制度を設けています。事業用操縦士免許を取りたいけれど予算が足りない方も、夢を諦めずにチャレンジすることができます。こうした募集を活用してパイロットを目指すのも手です。
パイロットになるには視力と資格が必要
パイロットになるには各眼0.7以上の視力が必要ですが、メガネやコンタクトレンズなどで矯正した視力でも一定以上視力があればなることができます。プロのパイロットになるには一定以上の視力と、ヘリコプターを操縦するためのライセンスである事業用操縦士免許が必要です。
この2つの条件を満たすことで、パイロットへの第一歩を踏み出すことができます。