日本にも導入の可能性はある?各国の徴兵制度について調べてみた

日本にも導入の可能性はある?各国の徴兵制度について調べてみた

日本人にとっても親しみ深い隣国・韓国。文化や国民性においても共通点があり、J-POPとK-POPの音楽分野でもその魅力を共有しあっていますね。しかし、大きく違う点があるのも事実。

今回は、その中の1つである「兵役制度」について調べてみました。最近では、BTS 兵役のニュースが世界中に衝撃を与えたことも記憶に新しいですね。それでは、早速各国の徴兵制度について見ていきましょう。

徴兵制度とは?

国家が国民に兵役に服する義務を課す制度をいいます。現在、世界で60ヶ国以上の国が徴兵制度を取り入れており、中には対象年齢が幅広い国や女性にも兵役義務がある国など、その内容は様々です。

徴兵制度は日本にもあった!

韓国の兵役制度のように、かつては日本にも徴兵制度が存在しました。「徴兵令」と称され、1873年から1945年まで続いた制度です。

対象は満20歳の男性で、検査に合格した人の中から抽選で3年間、軍への服務をさせてきました。その後4年間も、「後備軍」として戦時招集の対象となっていました。

日本に再度徴兵制度が導入される可能性は?

韓国 兵役のニュースで、私たちにとっても身近なトピックになりつつある「兵役」。日本では過去に廃止されていますが、再び導入される可能性はあるのでしょうか?

現時点で、政府や与党から徴兵制度についての言及は一切なく、改憲草案にも全く書かれていないのです。すなわち、現段階では徴兵制度が復活する可能性は限りなく低いといえます。徴兵制度云々の前に、日本では少子高齢化が大問題となっていますね。軍隊や組織のシステムにおいて省人化・無人化の研究も進められているそうです。

世界各国の徴兵制度について

それでは、世界各国の徴兵制度について見ていきましょう。

ロシア

ウクライナとの戦争で連日ニュースにも取り上げられている、ロシア。ここ数ヶ月でウクライナへの侵攻に失敗し、苦境に陥っていることでも話題になっています。

そんなロシアでは、かつて最低2年間の兵役につくことが義務付けられていました。しかし、コスト削減のため2008年に兵役期間が1年に短縮。たった1年で、最低限の訓練しか受けていない戦闘力の低い予備兵が、今現在ウクライナ戦線に送られていることも、国民の間では懸念が続いているようです。なお、兵役期間中に兄弟が亡くなった場合のみ、免除対象となるそう。

スイス

18歳以上の男性、もしくは女性志願兵に兵役制度が適用されます。スイスでは、健康上の理由から兵役に適さないと判断された場合、社会奉仕活動をするか免除金を支払うことで、兵役を免れることができます。

しかし、昔のスイスでは兵役拒否は「犯罪」。兵役拒否を理由に刑務所に送られた男性が多数いたそう。

オーストリア

2013年、永世中立を理由に徴兵制の廃止を求めて国民投票が行われました。結果は賛成票が反対票を上回り、廃止は否決。今現在でも、18歳に達した男性は兵役義務を履行しています。ただし、その期間は他国と比べて短く「6ヶ月間」。もしくは12ヶ月間の社会奉仕を選択することもできます。

北朝鮮

17歳から兵役義務がある北朝鮮。驚くべきはその期間です。なんと男性は10年、女性は7年という異例の長さなのです。

北朝鮮と言えば、1990年代半ばに多くの餓死者を出した「苦難の行軍」の影響で、子どもの発育低下がみられました。そのため、兵役検査の合格基準が昔よりも緩くなり、多くの国民が軍服務を義務付けられています。

一風変わった徴兵制度をもつ国々

中国:志願兵で人数が足りており、実質徴兵制はなし

中国も徴兵制を採用している国の1つですが、1949年に中華人民共和国が成立してから今日まで、実質徴兵制度は機能していないことになります。

志願兵だけで新兵枠が埋まってしまうので、強制的な徴兵は必要がないのだそう。志願兵がそれほど多い理由は、軍隊が貧困層にとって魅力的な就職先となるから。富裕と貧困の格差が激しい中国ならではの実情が垣間見えますね。

タイ:くじ引きで決まる

軍事力が世界23位で、軍事力維持に注力しているタイ。すべての男性に兵役義務がありますが、兵役に就くかどうかクジで決まるという驚きの実態がありました!クジを引いて、赤だった場合は入隊、黒だった場合は免除となるそうです。

ただし、タイでも志願兵が比較的多くいて、人気俳優のウィン・メータウィンさんの徴兵検査が大きく報道されたのち、志願兵で埋まったためそのまま免除となったケースもあったそうです。

シンガポール:外国人永住者も対象に

シンガポールの徴兵制度は、現地人以外に「外国人永住権保持者」が含まれます。そう、シンガポールに移住を考えるならば、熟考しなければいけない部分なのです。

シンガポールといえば、数多くの芸能人も家族で移住していることで知られていますね。今は小さなお子さんが18歳になった段階で永住権を持っていれば、兵役義務の対象となります。

過去、海外に8年移住したあとシンガポールに帰国し、兵役義務を履行した男性が「徴兵年齢の間に長く海外に渡航した罪」で投獄されたという衝撃のケースもありました。

ノルウェー:女性も対象に

ノルウェーでは、2015年から女性にも兵役義務が義務付けられています。軍の女性比率は年々上がってきており、1990年代前半には女性初のヘリコプターパイロットやジェット戦闘機パイロットも誕生しています。敵国の情報収集など、男性には難易度の高い繊細な業務を任されるそうです。

イスラエル:宗教によって免除になる人も

イスラエルで兵役義務があるのは、イスラエル在住の「ユダヤ人」「イスラム教ドゥルーズ派の教徒」「ベドウィン(遊牧民族)」「チェルケス人」のみ。

その他のイスラム教徒、キリスト教徒、そして「超正統派」と呼ばれる類のユダヤ教徒は、志願することはできますが、兵役義務はないそう。これらの優遇された国民は、基本的には定職に就かず、国からの補助金で生活しています。教義の研究やお祈りをすることが仕事がわりなのだそう。聖書を学ぶ時間を兵役制度に奪われてはいけないと、その伝統的精神を守るために導入されています。

まとめ

世界各国の徴兵制度について見てきました。どの国も、対象年齢やその期間、そして兵役が義務付けられる性別においても特徴的な違いがありましたね。

現段階では、日本がロシアのように他国に侵略することにでもならなければ、徴兵制度が復活することは考えにくいとされています。それでも他人事と思わず、各国の情勢や歴史的背景を学ぶ機会にすべきと感じます。

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